周囲の人と一体で、大きな成果を得る。
そして将来は、エンドユーザーまでをも魅了していきたい。
-2012年度入社-
YKK
電気電子工学専攻修了 【取材時】 YKK株式会社 ファスニング事業本部 ジャパンカンパニー ファスニング黒部工場 スライダー製造部 引手開発課 【現所属】 YKK深セン社 シンセン(公明) |
PROFILE
自分の着る服をもっとカッコよくしたいという思いからYKKに入社。入社してよかったと思うのは、アパレル関係の友人、知人らと今まで以上に深い信頼関係を築けたことだという。休日はDJとして富山のほか、金沢や新潟、上海のクラブや野外ステージ、イベントで活動し、友人も増えたと明かす。
「ゴム引手」の新しい生産手法の開発に挑戦中。
入社以来、ファスナーの引手*開発に従事しています。ここ黒部は、グローバルに展開するYKKの技術の総本山であり、ここで様々な生産手法を生み出しています。そのノウハウを体系化し、前線基地となる海外の製造拠点へと展開することが、ファスニング事業のひとつの重要なミッションとなっています。私は、引手にゴムを用いた「ゴム引手」の新しい生産手法の開発に挑戦しています。これが達成できれば、コストダウンや品質の安定化、納期短縮へとつながります。
今日のマーケットにおいては、非常に早い納期と低価格での提供、また新たなデザインに対するニーズが高まっています。特にニーズが目まぐるしく移り変わる現代にあっては、「コストと納期も品質の一部」ととらえられているだけに、私の取り組みも重要となっています。
*引手:ファスナーを開閉する際に手で持つパーツのこと
中国における引手開発業務全般の現場責任者として上海に赴任。
現部署に異動する前、私は中国における引手開発業務全般の現場責任者として、3年ほど上海に駐在していました。かつて世界のマーケットは、ヨーロッパがトレンドを生み、アメリカがブランディングし、日本が小型化して、中国がコストダウンすると言われてきました。当然、そこにはタイムラグもあり、中国は「世界の工場」という位置づけでした。ところが近年の世界市場にタイムラグはなくなり、中国も「世界の市場」として大きな力を持っています。
結果、中国国内においては、企画から2~3週間後には店頭にはヨーロッパとタイムラグなく流行の最先端の商品が並んでおり、顧客の要求速度は日々早まっています。現に上海YKKジッパー社においても、お客様であるアパレルメーカーからサンプルを「通常の半分の日にちで出してもらえないか」と求められ、私はそのミッションの主導役として奔走したことがありました。
人を巻き込み、チームワークで成果を得ることのやりがい。
お客様のリクエストに応えるために、私は工場全体でミーティングを行い、各オペレーションを1時間単位で管理することを進めました。その結果、各工程間に「待機時間」があることが判明。それらを削減することで、目標の0.1日超まで短縮することができました。それでもまだ0.1日超過していましたが、「それくらいは我々に任せて欲しい」という営業部の熱いひと言で、お客様の大きな満足を得られたことがありました。
当時はまだ入社4年目でした。技能らしい技能も身に付けていないなかで、このミッションを成功へと導けたのは、豊富な知見や経験を有する方々の力を借りながら、自らがそうした方々をつなぐジョイントになれたからだと思います。周囲の人と一体となって、チームワークで大きな成果を得る。そして喜びを皆で分かち合う。働くことの醍醐味を感じた瞬間でした。
学んだのは、先入観や固定観念を払拭することの大切さ。
英語は不得手、まして中国語はもっと不得手。それでも私は拙い中国語でコミュニケーションを図り、一生懸命に伝えようとするから相手も真剣に耳を傾けてくれます。
取引先や社外の方々とも食事をともにし、多くの時間を共有したことで、社外の協力工場の方々までもが、まるで自社の社員のように私のことを助けてくれました。中国の方々の情の深さに、私は何度も助けられました。
上海勤務を経て、私は先入観や固定観念を払拭することの大切さを学びました。そして今思うのは、ファスナーだけにとらわれる必要はないということ。私はメーカーや縫製会社の方々ともアイディアを出し合い、それを自分たちで顧客であるアパレルメーカーやデザイナーの方々に提案させていただくことで、従来にはないデザインを生み出し、エンドユーザーを魅了する仕事がしたいと夢見ています。
※インタビュー内容は取材時のものです。(2018年11月取材)