サステナビリティが世界の欠かせない価値基準となっていく。
社会の価値観が大きく変化しようとしています。新型コロナウイルス感染拡大によって、変化はさらに鮮明になったように感じます。その変化のキーワードはサステナビリティです。YKKのファスニング事業を取り巻くアパレル産業界でも、重要な価値基準となってきます。
このサステナビリティという動きに先駆けて行ううえで、私はこれからのものづくりには「三適」が必要になると私は考えています。つまり、適時・適材・適量の「三適」です。できるかぎり持続可能な材料を用いて、求められる量をタイムリーに提供する。そのビジネスモデルを追求するために、YKKもいま、大きく変わろうとしています。DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れ、フラットでスピーディーに考えて行動できる組織を目指して大胆な改革を進めています。
グローバルな社会に密着し、人と地域とともに成長していく。
YKKという企業を語るとき、欠かせない言葉があります。それは、創業者吉田忠雄の経営哲学である「善の巡環」です。わかりやすく言えば、私たちのビジネスに関わるすべての人と社会に貢献していこうという想いです。それはまさに、サステナビリティに通ずる考え方であると捉えています。この「善の巡環」をYKK精神として受け継ぎ実践してきたことで現在のYKKが存在するのです。
YKKが世界に誇る高品質な技術力と柔軟な提案力、そこにサステナビリティという価値を付加することによって、YKKならではの新たな競争力が生まれ、ビジネスの可能性が広がります。YKKは世界の様々な国や地域に拠点を展開しています。グローバルな社会にしっかりと根を張り、人と社会とともに成長していこうという醍醐味は、YKKだからこそ実感できる魅力です。
失敗を恐れずに挑み続け、互いに尊重し、成長する。
私が初めて海外に挑んだのは入社3年目、25歳の時です。最初の赴任地、香港は、当時世界でも類を見ないほどダイナミックで自由な市場でした。香港の現地事業会社の社長は、年が大きく離れているにもかかわらず、お互いを「さん」づけで呼びあうようなオープンな人でいろいろ学ばせていただきました。その後の中国では、現地事業会社の社長を任され、四苦八苦しながらも社員の皆さんたちと奮闘し、事業を拡大できました。振り返ると、若気の至りでずいぶん失敗もしました。しかし、上司や先輩たちはそんな私を信じて仕事を託し、いつでも温かくサポートしてくれました。
社長になった今、当時の経験から私は社員の皆さんに常に「失敗を恐れるな!」と伝えています。たとえ失敗しても、その経験を新たなパワーにすることで人は大きく成長するのです。ただし、同じ失敗を繰り返さない様に最善を尽くしていくことも話しています。
これからのYKKを担うのは、多様性に富んだ人財の力。一人ひとりが、YKKの主役となるのです。皆さんに望むことは、挑み続ける姿勢と、互いを認め合い、尊重し成長していただくことです。私自身も、その想いを忘れずにチャレンジし続けていこうと思っています。