設計者という枠に収まるのではなく、
製造全体を見渡す広い視野を持った技術者を目指す。

11
製造設備開発
-2015年度入社-
YKK AP
【取材時】
YKK株式会社 製造技術開発部
APグループ 素材・部品設備開発室
【現所属】
YKK AP株式会社 生産本部
工機技術部 素材・部品設備開発室

PROFILE
YKKグループのものづくりにおける「一貫生産思想」に共感したことが入社理由。趣味はドラムと登山とカメラ。子どもが生まれてから、ドラム演奏と登山はお預けとなってしまったが、「子どもという格好の被写体の登場に、カメラの腕前が少し上がったような気がする」と笑う。

「アルミ押出ライン」のユニット設計や合理化開発に取り組む。

黒部事業所でアルミの塊を窓枠の形状にする「アルミ押出ライン」の設備設計を担当しています。アルミサッシは、まず押出ラインで長さ60mくらいの棒状の形材をつくり、決められた長さに切断し、熱処理を行います。そして後工程で表面処理を施した後、必要部品を取り付け組み立てることで完成します。つまり「アルミ押出ライン」は、窓の製造工程における上流に位置しています。
一連のラインは、およそ15の製造機械、専門用語で言うと「ユニット」によって構成されています。稼働している設備の中には、30~40年前のものも含まれています。そうしたユニットではどうしても、動きにもたつきや遅れが生じやすく、それが生産のスピードや品質向上の足かせとなる場合も少なくありません。そこで私は、代替ユニットの設計や合理化開発に取り組んでいます。

設計者の一人として、少なからず胸の痛む思いを経験。

ユニット設計も合理化開発も、製造現場からの要望の質は高く、私もそれに最大限応えたいと思うのですが、ビジネスの世界では予算や納期など、様々な制約のなかでのアウトプットが求められます。そのためには優先順位を明確にして、やれること、やれないことの峻別が大事になります。このとき私が最も重視しているのが「作業性」です。
私は入社2年目の終わりに1カ月ほど、YKK APのとある工場で「アルミ押出ライン」の保全者として研修する機会に恵まれました。作業性を高めるために現場のみなさんが独自の工夫をされている光景を目の当たりにし、設計者のひとりとして、少なからず胸が痛む思いを経験しました。

設備を前に製造現場のみなさんと作業性について議論を重ねた。

たとえば、設備の駆動部などに巻き込まれると労働災害が生じるため、設計者として考えるのは、安全を確保するためのカバーを取り付けることであり、それ自体は現場の安全を考えた正しい判断です。しかし、現場でのメンテナンスの作業を見ると、重く、取り外しにくい形状のカバーを数人がかりで外し、内部の状態を確認していたことや、交換時期を決めずにチェーンのような消耗品を使用していたことがわかりました。
この現状をどうにか改善できないかと考え、私は安全カバーの一部を透明化することによって、カバーを外さなくても状態が外から見えるようにしようと試みました。そしてチェーンなどの調整を有する消耗品に関しては、調整量や交換の目安となる値を図面に反映しました。ほかにも改善の提案をしなければと思い、一つひとつのユニットの技術計算を行い、図面を描き、資料をつくったうえで、現物を前に製造現場の方々と作業性について議論を重ねました。

ラインだけではなく、製造全体も見渡せるような技術者に。

「技術」が先行すると「製造」の負担が大きくなるという、二律背反をうまくつなげていきたい。こうした思い、使命感を得られただけでも、先の研修は私にとって大きな収穫となりましたが、さらに嬉しい出来事がありました。設備を前に現場のみなさんと議論する中で得られた知見から、デザインレビューにおいて現場目線の提案をしたところ、翌年の新ライン立ち上げに向け、いくつかのユニットに採用されたのでした。
今、改めて思うのは、私たちが設計開発を行う設備の性能は、現場の作業効率を大きく左右し、それが結果としてエンドユーザーが手にする商品の価格や品質にまで影響を与えるということです。こうした視野の広がりは、ものづくりにおける一貫生産にこだわるYKKグループだからこそ身につけられるものであり、私自身もライン全体ではなく、製造全体も見渡せるような技術者へと着実に成長していきたいと、思いを新たにしています。

※インタビュー内容は取材時のものです。(2018年11月取材)

ページトップへ