

世界はとまることなく動き続けています。ようやくコロナ禍が収束したかと思うと、紛争や政治、経済など様々なシーンで変化が起こり、そのスピードはますます速まるばかりです。グローバルなビジネスを展開するYKKは、このような変化に即応できるように、スピーディーに決断し行動できる組織を目指して果敢な改革に取り組んでいます。
しかし、たとえ時代がどんなに変化しようとも、私たちYKKにはけっして変わることのない大切な想いがあります。それは、YKK精神である「善の巡環」です。「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」というこの考え方は、いまや社会にとってかけがえのない価値観であるサステナビリティとも通じるものがあると私は考えています。YKKが持続的な成長を果たしていくために、いつの時代でもONE YKKとしてみんなで共有すべき精神なのです。
これまでのキャリアを振り返るとき、大きな転機になったと感じているのは、入社7年目、初めての海外赴任だったイタリアでの経験です。当時、イタリアの名だたるラグジュアリーブランドにおけるYKKの認知度は決して高くありませんでした。そのため、採用してもらうために、商品開発にまで踏み込んだ様々な取り組みを進めました。現地スタッフと一緒になって奮闘し、彼らの家に泊まってイタリアの家庭料理をふるまってもらったのもよい思い出です。
こうした経験の中で、大切にしてきたのは「信」のつながりです。どんな時でもぶれることのない信念を持ちながら、過信せずに、ともに働く仲間や顧客との信頼を大切にする─。その後、私は様々な国・地域で仕事をしてきましたが、この姿勢はどこでも同じでした。自らを信じ、仲間を信じ、そうして喜びを分かち合う成功体験が、人を大きく成長させ、YKKの発展にもつながっていくのです。
YKKでは現在、経営戦略の一環として「わくわくする商品提案」を推進しています。社員からこのわくわくの本質について質問されることがありますが、それは人それぞれ異なるもの。ただ、ありきたりの発想では人の心を動かせません。大きな変化を生み出すためには、もっと大胆な創造力が必要です。その挑戦を支え、実現できる環境を整えることが、私の重要な役割だと考えています。
信念を持ち、粘り強く考え続け、行動し続けること。これこそが、私たちYKKが皆さんに大切にしてほしいマインドです。何かと効率が重視される時代では少し古く感じられるかもしれませんが、私自身の経験からも、この姿勢こそが大きな成果へとつながると確信しています。日々の積み重ねが、やがて自分自身の可能性を広げ、未来への大きな力となるのです。
YKKの魅力のひとつは、年齢やキャリアを問わず、世界を舞台に活躍できるチャンスがあることです。私自身、海外で培った多様な経験が、自らの視野と可能性を大きく広げてくれたと実感しています。だからこそ、これから出会う皆さんとも、一緒に新しい挑戦をしていきたいと思っています。ONE YKKとしてともに挑戦し、未来を切り拓いていく─。そんな熱意あふれる仲間との出会いを、心から楽しみにしています。