YKK株式会社

金型・機械部品開発 シニアエンジニア

工学研究科マテリアル科学専攻修了。2001年度入社。
2008年に産休・育休を取得。一児の母。

自分はここまでと思っているところを、
ちょっと超えてみること。

金型の長寿命化を目指して、
生みの苦しみを超えてゆく喜び。

商品をつくるための製造設備や金型・機械部品開発を担う工機技術本部の中でも、基盤技術開発部は中長期視点で、商品や機械部品に使われる材料や、加工技術の開発を行っています。私は金型の寿命安定化・向上を目指して、金属材料の開発や現場への落とし込みを行っています。開発は「できない」を「できる」にする仕事。一見、無理難題に見えるものを一つずつ切り崩して解決する過程に喜びを感じます。とはいえ、新規性のある技術開発には、常に生みの苦しみが伴います。世界の技術情報を集められるだけ集めて、その組み合わせを検討し、ときには過去の常識を疑うことから始めます。YKKは世界中でファスナーを作っているので、一種類の金型部品でも、世界では月に何千個と使われているものもありますから、その部品を数%改善するだけでも、波及効果はとても大きくなります。それをやりがいとして努力し続けています。

子育てをしながら博士号も取得。
ますます密度の高い人生を過ごしたい。

産休・育休をとると、キャリアにおいてはマイナスになると思っていたので、その後の成長は、私自身もイメージできていませんでした。実際には、そこからが自分の大きな成長の時期となりました。入社8年目の年に産休・育休を取得し、子育てに向き合う時期を過ごしたことは、とても勉強になり、生まれ変わって復帰できた気がします。復帰後は開発業務だけでなく、女性の活躍推進を目指した社内プロジェクトの一員になったり、原理原則を追究するために大学院の博士課程に進学することになって、国際学会で発表を行ったり。家事や子どもの送り迎えもあったので、これ以上やるのは自分には無理だろうという境界は見定めつつも、それをちょっと超えてみないと、それが限界かどうかわからないと思ってチャレンジしてきました。やってみると苦にならず、楽しいことがわかったりもしました。2016年3月には、ついに博士(工学)の学位を取得でき、2016年10月には金沢大学の客員准教授に任命いただき、これからは金沢大学とYKKの連携講座で人材育成にも携わります。密度が高い人生をこれからも過ごしていきたいと思います。

これまでのキャリアステップ

1年目7年目
旧研究開発本部 金属材料研究所(宮城)に配属。ファスナーに関わる材料や加工技術の開発に従事。ファスナー製品の成形手法の開発やスナップ&ボタン製品のアルミニウム化の開発を担当。
8年目
産休・育休を取得。
9年目
復職し、金型に使われる材料開発を担当する。
10年目12年目
宮城から富山へ転勤。
13年目
原理原則を追究するために大学院博士課程へ。YKKでは女性初となる博士号を取得。

私のプライベート

大事な家族との時間。
主人と息子に支えられています。

朝は主人が子どもを送り出す担当で、私は早めに出社し、夕方は私が子どもを迎えに行くというリズムでやってきました。仕事もやりながら、社会人ドクターとして週2、3回、大学に通っていたときはさすがにハードで、朝は毎日4時に起床。論文に取り組む時間が多かったので、主人や息子にもだいぶ協力してもらいました。息子は今、ゲームとピアノが好きな小学生。夕方6時に学童保育に私が迎えに行き、夜は一緒に過ごします。子育ての制約があっても、時間を区切って本当に必要なことに集中して働くべきなのではと感じています。そのほうが体も気持ちも私は楽になりました。いろいろ挑戦してみて、他の人がこうだから、ではなく、自分に合うバランスを見出していけばよいと思います。

プライベート写真

※インタビュー内容は取材時のものです。